橋本一郎の個人ページ
トロント大学統計学科(Department of Statistical Sciences, University of Toronto)の博士課程で機械学習の数理を研究しています。進学前は霞ヶ関で十数年(その間、MBA留学、在外公館への赴任経験有り)勤務していました。日本での学部・修士時代は統計学ではなく、複素幾何学を専門としていました。経歴の詳細はこちらをご覧ください。
研究分野
機械学習の数理、究極的にはディープラーニングの謎を解明することを目指して研究に取り組んでいます。ディープラーニング”技術”は近年目覚ましく発展していますが、実は”何故上手くいくのか?”という疑問に答えるための”理論”は全くと言って良いほど理解が進んでいません。むしろ、ディープラーニングは統計学の従来の常識と矛盾するとさえ言えるパフォーマンスを発揮しています。
とりわけディープラーニングの不思議さを象徴する現象の一つに、良性過適合(Benign Overfitting)と呼ばれる現象があります。従来の統計学では、パラメーターの変数をサンプルの数を超えてしまうと、学習データに過度に適合(Overfitting)してしまい、結果として新規データに対するパフォーマンスが落ちてしまうため、パラメーターの数を適度に抑えることが重要と考えられてきました。ところがディープラーニングは意図的にパラメーターの数を増大させ、過適合を発生させているにも関わらず、圧倒的な精度で予測することができているのです。
ディープラーニングでこの現象が報告されて以来、古典的なモデル(例えば、線形回帰)でさえも実はBenign Overfittingが起こり得るのだということが理論的に解明されてきました。
しかしながら、究極的な目標であるディープラーニングのBenign Overfittingが起こるメカニズムは未だ解決からはほど遠い状況であり、この大きな目標に向かって、研究に取り組んでいます。
トロント大学日本人コミュニティ
主に大学院生以上向け(ポスドク等の若手研究者やMBA/LLM等のProfessional系も含む)の日本人コミュニティのSlackチャンネルの管理人をしています。詳細はこちらをご覧ください。